未成年と特別代理人について

高野義憲

まだ子供が幼くしてご主人が亡くなった場合、相続人は、奥様と未成年の子供になります。

自宅不動産の名義を亡ご主人から奥様に変更しようとした場合、奥様と子供で遺産分割協議書を作らなければなりませんが、その際、家庭裁判所に申立てをして、利益相反のための子供の特別代理人を選任してもらう必要があります。

奥様は子供の親権者なので、子供の代理人として奥様は様々な事ができるのですが、奥様の持分を増やせば子供の持分が減るという様な、利益が相反する行為については、代理できません。
遺産分割協議も利益相反行為にあたります。

そのため遺産分割協議をするには、子供の代理人を家庭裁判所に選任してもらって、選任された「特別代理人」と奥様とで遺産分割協議書を作る必要があります。
未成年の子供が2人いる場合は、それぞれ別々の特別代理人を選任する必要があります。

なお、未成年の子供が相続放棄をする場合にも、特別代理人を選任する必要がありますが、親と一緒に(全員で)相続放棄する場合は、その必要は無く、子供の相続放棄は親が代理して申立できます。

疑問などございましたら、いつでもお電話下さい。
特別代理人選任申立についても、ご相談は無料です。
海老名市、座間市、綾瀬市、大和市、厚木市、相模原市の方はもちろん、神奈川県全域大丈夫です。
 

家庭裁判所での特別代理人選任の申立手続

申立書の提出

特別代理人を選任してもらうには、家庭裁判所に 「 申立書 」 を提出します。

どこの裁判所でも良いというわけではなく、未成年の子供の住所を管轄する家庭裁判所に提出します。
(→管轄についてはこちら
 
(申立人)
なお、申立人となるのは、以下の者です。
・親権者(親)
・利害関係人(成年している他の相続人など)
 
(申立の必要書類)
そして、必要書類は、以下のものです。
・申立書 
・未成年の子供と、親権者の戸籍謄本
・特別代理人候補者の住民票
・遺産分割協議(案)、財産に関する資料(不動産の登記事項証明書など)
 
(申立の費用)
申立の費用は、収入印紙800円と、切手(裁判所や相続人の数によって異なります)です。

→書類作成報酬を含めた費用額はこちら【相続遺言費用の目安ページへ
 

特別代理人選任の申立書について

1.申立書には、特別代理人候補者を記載します

通常、家庭裁判所が全くの第三者を選任するわけではなく、申立書に記載された候補者が適切か考慮した上で、その候補者を選任します。

候補者に特に制限はありませんので、祖父母や叔父叔母など身内の方を候補者にするのが通常です。

ただし、ご主人が亡くなられて奥様と子供が相続人の場合、奥様方の身内(父母など)を候補者として申立てすると、奥様に有利な考慮をしがちなので、亡ご主人方の身内を候補者にしてほしいとの家庭裁判所から要請される場合もある様です。
 

2.申立書に遺産分割協議(案)を添付します。

その協議書の内容が適切であれば、そのまま特別代理人が選任されますが、不適切であれば、内容の変更を求められたり、却下という場合もあります。

基本的には、子供にも法定相続分は確保するような内容を求められます。
ただ、子供がまだ幼い様な場合には、成人するまでの長期間にわたって母子家庭として子供を育てていかなければならないといった事情を上申書として提出する事で、全て奥様(母親)が相続する内容で認められる事も多くあります。
 

特別代理人選任申立後の手続

申立書を提出して、遺産分割の内容と候補者に問題がなければ、2週間から1ヶ月程度で選任審判書が出ます。

審判書が出れば、親と特別代理人とで遺産分割協議書にそれぞれの実印で押印して、遺産分割協議書と印鑑証明書、審判書をワンセットで、不動産や預貯金などの相続手続きを行うことができる様になります。

特別代理人は、遺産分割協議のためだけに選任された者ですので、遺産分割協議書が出来上がれば、任務終了となります。

 

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