相続人がいない場合

高野義憲

亡くなられた方に、妻や夫、子、親、兄弟姉妹、甥姪などの相続人となる者が誰もいない場合、相続人不存在となります。
相続人不存在となる場合の多くは、相続人の全員が相続放棄をした場合であると思います。 借金が多くて全員が相続放棄した場合、それなりにプラス財産もあれば、債権者としてはそれを換金して返済に充てたいと考えます。

まれではありますが、亡くなられた方が、一人っ子で兄弟がおらず、両親も他界していて、結婚した事が無くて子供もいないといった場合は、そもそも相続人となるが者いません。
そして、その方が結婚はしていないものの、長年連れ添った者 ( 内縁の妻 ) がいる場合には、プラスの財産をその者に与えるのが、亡くなられた方の意思に添うこともあるでしょう ( 特別縁故者への分与といいます ) 。

そのような場合には、債権者や関係者などが家庭裁判所に申立をして、相続財産管理人を選任してもらうことができます。 相続財産管理人には、通常、弁護士など法律専門家が選任されます。 相続財産管理人は、実際にどのような財産があるかを調査するほか、本当に相続人がいないか、また、他に債権者がいないかを、公告して調査します。

その後、プラスとマイナスの財産を精算して、最終的に財産が残ると、特別縁故者に分与するか、国に帰属させます。

なお、特別縁故者とは、相続権は無い方で、内縁の妻や、生前に身の回りの世話をずっとしていた者などが該当します。

疑問などございましたら、いつでもお電話下さい。
相続人不存在についても、ご相談は無料です。 海老名市、座間市、綾瀬市、大和市、厚木市、相模原市の方はもちろん、神奈川県全域大丈夫です。

 

相続財産管理人の選任申立手続について

相続財産管理人の選任申立をする際には、個々の事案によって家裁が決めるのですが、おおよそ100万円以上の予納金が必要になります。

その予納金は財産管理人となる弁護士の報酬に充てられるものです。 予納金を納めてでも、財産管理人を選任してもらう利益がある場合に、利益を受ける者が申立を行うことになります。

返済が見込める場合に、金融機関など債権者が申立てたり、特別縁故者が申立てたりです。

 

相続財産管理人選任申立

亡くなられた方の住所地を管轄する家庭裁判所に、「申立書」を提出します。(→管轄についてはこちら

申立人となるのは、① 利害関係人(亡くなられた方の債権者、遺言で遺贈を受けた方、特別縁故者など)、② 検察官、です。

 

申立書を提出をする際の必要書類

  1. 亡くなられた方の、出生から死亡までの除籍・改製原戸籍の全て、除票
  2. 遺産に関する資料(不動産の登記事項証明、固定資産評価証明、預貯金通帳の写し、残高証明書、有価証券写しなど)
  3. 利害関係を証する資料(借用証書、戸籍・住民票、遺言書など)

なお、前述した通り、申立をする際に、5,000円程度の、収入印紙・切手・官報公告費のほか、個々の事案によりますがおおよそ100万円以上の予納金が必要になります。 予納金額は、申立後に裁判所が決定して通知されますので、速やかに納めることになります。

 

財産管理人を選任して以降の手続

  1. まず、相続財産管理人が選任されたことを知らせるための公告をします。
  2. 公告から2か月が経過してから、財産管理人が、相続財産の債権者・受遺者を確認するための公告をします。
  3. その公告からさらに2か月が経過してから、相続人を捜すため、6か月以上の期間を定めて公告をします。期間満了までに相続人が現れなければ、相続人がいないことが確定します。
  4. 特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをする場合には、相続人がいないことが確定してから3ヶ月以内にする必要があります。
  5. 財産管理人は、裁判官の許可を得ながら、被相続人の不動産や株を売却して金銭に換えるなどして、債権者や受遺者への支払をしたり,特別縁故者に対する相続財産分与の審判にしたがって特別縁故者に相続財産を分与するための手続をします。
  6. 最終的に相続財産が残った場合は、相続財産を国に引き継いで手続が終了します。

 

無料相談・お問い合わせ